2020年開催のオリンピック誘致に東京が名乗りを上げ、
その動向が連日のように報道されています。
日本における風俗営業と国際的祭典の関わりの歴史は昔からあります。
国内でオリンピックや国際万博、ワールドカップなどが行われるたびに
対象エリアの浄化作戦と謳(うた)い繁華街の風俗店が摘発されています。
しかしすべての風俗店が摘発対象かといえば、
けっしてそうではありません。
客観的にみると風俗店が大掛かりに摘発され、
あたかも街の風俗店がすべて摘発されたかのような印象を持ちますが、
実際には国家公安委員会も計画通りに実行します。
警察もむやみやたらと理不尽な摘発はしません。
摘発の対象となっているのはあくまでも無届店舗や違法店、詐欺店などの悪質店で、
正式に警察の許可や届出をしている店舗はなにも変わりなく営業を続けています。
むしろしっかりとした所管の指導のもとで優良店として営業をしている店舗からすれば、
悪質店がなくなることのメリットのほうが多いわけです。
なぜ警察は一斉摘発に踏み切るのか
警察も常日頃から違法営業店の内偵や摘発をおこなっておりますが、
こうした業者は警告や摘発を実施しても次から次へとあらわれキリがありません。
結局はイタチごっこに終わり、やむを得ず見せしめの意味もかねて、
国際的祭典を期に「街の浄化作戦」という名目でまとめて一斉摘発に踏み切るしか
方法がないというところが本音のようです。
風俗業界と国家公安委員会の関係
世間一般的なイメージや業界外部からすると
風俗業界と警察は相反する立場にあると思われるかもしれません。
しかし、それはまったくの誤解で、事実は真逆です。
我々、風俗業界と警察(公安委員会)は相互扶助関係にあります。
とはいえ、誤解のないように先に伝えておきますが、
風俗業界と警察が癒着しているという意味では決してありません。
警察と風俗業界は協力関係にあるという意味です。
健全な風俗経営をされている経営者であれば周知のことですが、
風俗店舗は【従業者名簿】が義務づけられています。
ご存知ない方のために簡単に説明しますと、
風俗店で働く男性スタッフや女性キャストが、
・18歳未満でないこと(高校生でないこと)
・外国人不法労働者でないこと
・犯罪者でないこと
・成年被後見人もしくは被保佐人でないこと
・捜索届対象者ではないこと(家出の確認)
等を確認把握する必要があるためです。
また風俗営業を営むうえで公安委員会の監督をおこなうことの利便性をはかることや、
人身取引の防止も目的とされています。
そして名簿を管理することにより、警察が事件の捜査をする際、
結果的に調査に協力するかたちとなります。
詳細は割愛しますが、過去、実際に事件があった際に
店舗責任者として調査協力した経験もあります。
また風俗営業許可あるいは届け出をきちんとおこない名簿管理を徹底することで、
逆にお店がなにか事件に巻き込まれた場合、警察に助けを求めることもできるのです。
風営法は風俗業を守るための法律
風俗店は風営法に罰せられるのではなく、
風営法によって守られています。
身近な例で例えるならば、日本の交通ルールには道路交通法というものがあります。
自動車の運転自体を道路交通法で罰するための法律ではなく、
歩行者や運転者が安心安全で道路を利用できることを目的とした法律です。
先ほどの風営法と風俗店の関係を道路交通法に置き換えるてみると、
一部のルールの守れないドライバーによって自動車業界全体が悪い印象をもたれているようなものです。
ではなぜ、風営法が守られないのか。
もう一度、自動車で例えてみると、
目的地までの一般道を法定速度の40キロで走るより、
100キロで走るほうがより早く着くというのは誰だってアタマではわかります。
でも常識的な理性が働けば、
100キロで一般道を走れば道路交通法で罰せられることくらいわかるはずです。
しかし、それが風俗営業となると
理性が働かない経営者が多いようです。
より早くゴールに着きたい(成功したい、儲けたい)と思うがあまり
平気でルールを破ってしまうのです。
仮に、一回走ってみて捕まらなかったから
次も大丈夫だろうと思って安心しているのかもしれません。
しかし捕まってしまったら元も子もありません。
先日も東京都のスカウトグループが摘発されたという報道がありました。
このニュースも知らない方からすれば、
スカウトは悪い組織。という印象のみ残りますが、
実際は東京都で改正された迷惑防止条例のルールを守れない、
このスカウトグループが悪いだけであって
(※実際の処罰内容は路上での勧誘や未成年の雇用扶助、等)
しっかりと厚生労働省の認可を受けて店舗に人材を紹介している会社もあるのです。
この事件によって吉原のある有名な老舗のソープランドが、
前述のスカウトグループから女性の紹介を受けていたということで、
東京都ぼったくり防止条例違反容疑として併せて書類送検されました。
ソープランドとは、風営法上では【個室付き特殊浴場】という届出をして営業しています。
お店はあくまで【お風呂屋さん】であって、
本来は公衆の浴場であり、女性は入浴を介助するというサービスなのです。
個室で営まれる行為に関しては当人同士の自由恋愛との建前という非常にグレーなもので、
客観的なモノの見方をすればサービス内容は紛れもない
「カンリバイ●ュン」です。
警察からもそこは暗黙の了解として、大目にみてもらっている事実があれば、
これらのような違法行為をすること自体が猶予待遇を受けている警察に対して、
配慮にかける行動なのは容易に想像できることです。
なぜ老舗や大手の風俗店が、
一般道を100キロで走るような真似をするのでしょうか。
我々としては理解に苦しみます。
健全な風俗営業への取り組み
長年、風俗業界に身を置くことで、
さまざまな店舗に携わってきました。
そんななか、
法定速度のルールを守り、
数十年と健全な営業を続け、
数十億、数百億と売上げを伸ばし続けている
大手風俗グループも数多くあります。
業界の歴史をみても、
長い目でみれば間違いなくこういった企業のほうが成功しているのが事実です。
しかし、誤解を承知であえて言わせてもらうと、
風俗業はビジネスとして儲かりすぎてしまうのが難点です。
儲かるが故に目先の利益に奔(はし)り安易に法を犯すリスクを
背負ってまでも営業してしまうのです。
我々、風俗プレナーは、
違法店には一切関与いたしません。
違法な営業をしないというのはもちろんですが、
お客さんとして利用しない。
従業者もしくは業者として関わらないことです。
風俗ビジネス自体に善悪はありません。
あなたの価値観が判断することです。